シクラメン(15年12月)
マンション植え込みのシクラメン
花屋さんに赤、白、ピンクのシクラメンの鉢植えが賑わう頃となりました。
うつむきかげんに咲いた花は、花びらだけが上を向いているので
上を向いて咲いているようですが、
よく見ると花全体は下を向いている不思議なかたちです。
やや透明感のある肉厚の花びらは捻れながらゆらゆらと咲き上がっているので、
和名「かがり火花」の由来ともなったのでしょう。
このように可憐な花であるにもかかわらず、
日本に入ってきた頃はなんと「ブタのマンジュウ」と呼ばれていたそうです。
それはシクラメンの球根がブタの餌になっていたので、
英名「ブタのパン」を訳したことによるものであったとはいえ
少し気の毒な気がします。
その後、植物学者の牧野博士により「かがり火花」と名付けられたそうですが、
シクラメンの響きが良いのか、今では「シクラメン」が通称となっています。
シクラメンの中でも花の大きい鉢物はやや寒さに弱いのですが、
小型のガーデンシクラメンは寒さに強く、
戸外の植え込みに花の少ない時期は、明るい色を添えてくれています。
うつむいたシクラメン
数年前、お隣の奥さんと
「玄関前の植え込みに何を植えたら良いか」と
話し合っていた時にシクラメンを勧めたことがありました。
赤ではなく白を選ばれました。
白いシクラメンはワイヤープランツを
グランドカバーとしていくつか植えられ、
さほど手入れもしていないというのに
毎年綺麗な花を咲かせていました。
ところがその後、いつも玄関先で顔を会わす度に話をしていたのに、
突然帰らぬ人となってしまったのです。
同じ頃に引っ越してきて25年、子育ての大半の時期を共に過ごした仲でした。
白いシクラメンは毎年寒くなると咲き続けているものの、
見ると寂しい花となってしまいました。
フリンジ咲きのシクラメン
今年は、別の友人がマンションの入り口の
コンテナーにシクラメンを植えたとのことで見せてもらいました。
まとめて何十球も植えられた花は赤やピンクや白の2色咲きで、
やや北向きの入り口を明るく彩っていました。
最近は品種改良も盛んになって、縮れた花びらのフリンジ咲き、
八重咲きまで出回るようになりましたが、
そのうつむき加減と瑞々しい花びらは派手な華やかさではなく、
控えめな華やかさであるように思います。
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